クレジットカード
簡単にわかるクレジットカードの仕組みと引き落としのタイミング
更新日:
22.04.08
クレジットカードがあれば、手持ちの現金がなくても買い物ができます。しかし、なぜそれが可能なのか、疑問に思ったことはないでしょうか。この支払いの仕組みも含め、ここではクレジットカードのシステムについて詳しく説明します。
クレジットカードの仕組みに加え、ポイント還元の仕組みやポイントを効率的に貯める方法など、実生活に直接役立つ知識も紹介します。本質的な知識、実践的な知識のどちらを求めている人にも、役立てていただけるでしょう。
目次
現金がなくてもクレジットカードで支払いができる理由
クレジットカードは手持ちの現金がなくても、支払いができる仕組みになっています。理由は、その代金を「カード会社が立て替えている」からです。
カード会社が立て替えをできる理由は、事前に利用者の支払能力を調査しているためです。その能力が「利用可能額」に反映されるわけですが、この金額の範囲内であれば、ほぼすべての買い物でカード会社が立て替えてくれます。立て替えてもらった分は、翌月の引き落とし日までに口座に入金しておきます。
カード会社が立て替えをする理由は、リボ払いなら利息によって利益を得られるためです。また、自社の買い物で得するカードを発行することで、顧客の囲い込みもしやすくなります。他にも多くの理由がありますが、カード会社の側にも利益があるため、利用者の信用の範囲内で立て替えをしてくれるのです。
クレジットカード決済の仕組みを解説!
クレジットカードを使ったことがない人も、毎日のように使っている人も「決済の仕組み」については知らないことが多いでしょう。ここでは、どのような仕組みでクレジットカードの決済が行われているのかを解説します。
利用者・お店・クレジットカード会社の立場
クレジットカード決済における利用者・お店・カード会社の立場は「誰が・誰に・何を約束しているか」を見ると、わかりやすくなります。
カード利用者
利用者が約束する相手は「カード会社」だけです。「立て替えてもらった代金を、期日までに支払う」ことを約束します。
カード会社
カード会社は、利用者・お店に対して「立て替える」ことを約束します。立て替えの手数料をお店側からもらうことにより、カード会社が儲かる仕組みとなっています。わかりやすくセリフで書くと、下のようなことをお願いするわけです。
カード会社:
利用者に対して「限度額の範囲内なら立て替えます」
(なので、ぜひ買い物してください)
カード会社:
お店に対して「後日うちから支払います」
(なので、現金なしで買わせてあげてください。そして、うちに決済手数料を払ってください)
カード加盟店(お店)
お店は、利用者・カード会社に対して、それぞれ下のことを約束します。
お店:
利用者に対して「対応カードなら拒否しません」
(なので、ぜひ来てください)
お店:
カード会社に対して「カード利用者を拒否しません。また、決済手数料が差し引かれることに同意します」
(なので、カード決済を導入させてください)
お店のカード決済は、必ず導入できるとは限りません。例えば、店舗によっては「架空の決済で売上を水増しする」などの恐れもあるため、カード会社が審査で落とすこともあります。
クレジットカード決済の流れと手数料について
クレジットカードの決済の流れは、下のようになっています。
- 利用者がクレジットカードで支払いをする
- 店舗がカード会社に、その金額を請求する
- カード会社が店舗にお金を払う
- カード会社が利用者にお金を請求する
補足すると、3の段階でカード会社は「全額」を払うわけではありません。店舗はカード会社に決済手数料を払う必要があるため、それが差し引かれます。差し引いて、数%少なくなった金額が、店舗に支払われるということです。
こう書くと「店舗が損をしている」と思うかもしれません。しかし「数%利益が減ってもお客さんが増える方が良い」と考える店舗は多くあります。逆に「導入してもお客さんは増えない」と判断している店舗や、「導入したいけど、手数料の負担がきつい」と考えている店舗は、カード決済を導入しません。
VISAなどの国際ブランドとクレジットカード発行会社の違いを解説
クレジットカード会社には、国際ブランドの管理会社と、実際に利用者が使うカードを発行する発行会社があります。ここでは、それぞれの違いを解説します。
国際ブランド
クレジットカードの国際ブランドとは、VISA・Mastercard・JCBなどの決済ネットワークのことです。例えばVISAのマークが付いたクレジットカードなら、どこの会社が発行したカードであろうと、VISAの加盟店で利用できます。現在、日本を含めた世界の主な国際ブランドは、下の5つです。
- VISA
- Mastercard
- JCB
- アメリカン・エキスプレス
- ダイナースクラブ
このうち、VISAとMastercardは「ライセンスのみを提供」しており、自社でのカード発行はしていません。クレジットカードのライセンスとは、簡単にいうと「決済システム」のことです。一般的にライセンスというと、下のような権利を想像するでしょう。
- ロゴを使う権利
- ブランド名を名乗る権利
これらの権利はクレジットカードのライセンスでも共通します。VISAのライセンスを借りたら、VISAのロゴをカードに印刷できます。また、「○○VISAカード」という名前で、カードを発行可能です。
しかし、こうしてロゴや名前を借りても、カードの場合は「決済システムが動かなければ意味がない」のです。そのため、カードでいうライセンスとは、本質的には「決済システムのこと」といえます。
VISAとMastercardは、その決済システムだけを提供しており、実際のカード発行はすべて提携会社が行っているわけです。「三井住友カード」は、VISAのライセンスを借りて、三井住友カード株式会社が発行しているカードです。
JCBとアメリカン・エキスプレスは、ライセンスの提供だけではなく、自社でのカード発行も行っています。このように、国際ブランドの管理会社が自ら発行するカードを「プロパーカード」といいます。JCBのライセンスを借りて発行されるカードでは、例えば「ANA JCBカード」などがあります。
ダイナースは上記の4社と違い、ライセンスの発行はしていません。自社発行のカードのみとなっています。
発行会社と提携会社の違い
クレジットカードの発行会社とは、国際ブランドのライセンスを取得し、クレジットカードを発行する会社のことです。大手では下のような会社が該当します。
- 三菱UFJニコス
- 三井住友カード
- クレディセゾン
- 楽天カード
- イオンカード
- オリコカード
これらの会社は「自らカードを発行」するだけでなく「提携会社のカードの発行」もします。三菱UFJニコスの場合、自ら発行するカードは「三菱UFJカード」という名前のシリーズになっています。それ以外の提携会社のカードとしては、下のような有名企業のものを発行しています。
- JALカード
- リクルートカード
- ENEOSカード
発行会社は、このような提携会社のカードも含めて、下のような業務を担当します。
- 入会手続き
- 審査
- カード発行(印字・郵送など)
- 利用代金の回収
ポイントや優待のサービス提供については、提携会社が行います。
上のJALカードなら、三菱UFJニコスではなくJALが、航空券割引などのサービスを提供します。三菱UFJニコスが直接発行するカードについては、同社がグローバルポイントという名前のポイントサービスなどを提供します。
クレジットカードの支払い方法の仕組み
クレジットカードのショッピング機能には、支払い方法が選べる仕組みがあります。支払い方法によって特に変わる部分は「手数料がかかるか、かからないか」です。この点で各方法を分類すると、下の表のようになります。
手数料がかからない | 一回払い、二回払い |
---|---|
手数料がかかる | 分割払い、リボ払い、ボーナス払い |
ここでは、それぞれの支払い方法をさらに詳しく説明していきます。
一回払いは翌月以降に全額支払うこと
一回払いとは「1ヶ月に使った分を、翌月まとめて全額払う」という仕組みです。
支払い方法を指定しない場合は、基本的に一回払いになります。手数料がかからず、その国際ブランドの提携店であればどこでも使える支払い方法です。また、約1ヶ月のタイムラグはあるものの、基本的には今持っているお金しか使えない(それ以上使うと翌月引き落とせない恐れがある)ため、使いすぎを防ぐ上でも有効な支払い方法です。
支払いのサイクルは、例えばJCBの場合、毎月15日までに使った金額が、翌月の10日にまとめて引き落とされます。ここでいう毎月15日を「締め日」といい、10日を「支払い日・支払い期日」などと呼びます。
二回払いは2回に分けて支払うこと
二回払いとは、文字どおり「2回に分けて支払う」方法です。使った金額の半分を翌月に支払い、翌々月に残り半分を支払います。基本的に、一回払いと同じく手数料がかかりません。そのため、高額商品の買い物でおすすめの支払い方法です。「一回払いで買うだけの現金はない」「しかし、手数料がかかるのは嫌だ」というときにベストの方法といえます。
このように便利な支払い方法ですが、お店によっては二回払いを指定できないこともあります。特にネット通販では二回払いの指定をできないサイトが多くなっています。
分割払いは3回以上に分けて支払うこと
分割払いとは、使った金額を複数回に分けて支払う方法です。2回までは「二回払い」となりますが、3回からは分割払いとなります。分割できる回数はクレジットカード会社によって異なりますが、最大24回まで選べることが多くなっています。たとえば三井住友カードの場合、下の回数を選択できます。
3回・5回・6回・10回・12回・15回・18回・20回・24回
回数を増やすほど毎月の支払い金額が小さくなり、当面の負担を軽減できます。ただし、分割払いには手数料がかかるため、トータルで見ると一回払いや二回払いよりも大きな金額を払うことになります。回数が多いほどこの利息も大きくなるため、回数を多めにするときには注意が必要です。
リボ払いは毎月一定の金額だけ支払うこと
リボ払いとは「毎月一定の金額だけ支払う」仕組みです。この金額のルールはカード会社によって異なりますが、それぞれのルールの範囲内で、好きな金額を指定できます。資金繰りが厳しいときは少額に指定し、余裕があるときは多めに指定するなどの選択が可能です。
リボ払いも分割払いと同様、所定の手数料がかかります。このため、できるだけ月々の支払い金額を大きくし早めに完済する方が、トータルでの負担が小さくなります。
リボ払いでは、追加の買い物をしない限りは、分割払いと同じ要領で残高が減っていきます。支払いの例を箇条書きで説明すると、下のとおりです。
- 1月に10万円利用する
- 毎月「2万円ずつ支払う」と設定する
- 2月~6月の計5回で完済できる
- その間手数料が発生するので、毎月上乗せして払う
上の例の場合は、事実上「5回の分割払い」と同じになります。しかし、追加の買い物をすると6月の時点でも完済とならず、残りの残高に応じて支払いを続けることになります。
ボーナス払いはボーナスでまとめて支払うこと
ボーナス払いとは「ボーナスでまとめて支払う」方法です。支払いを半年以上猶予でき、基本的に手数料もかからないため、高額商品の支払いで特に有利な方法といえます。
例えばJCBの場合、12月16日~6月15日までに使った分をボーナス払いにすると、支払い日は8月10日となります。最長で約8ヶ月、支払いの猶予を得られるのです。
ただ、ボーナス払いは金額や利用期間が制限される場合もあります。この制限の度合いは、カード会社やその利用者の信用度によって異なります。また、カード会社のルールとしては問題なくても、お店の側で受け付けていないこともあるものです。このように「必ず使えるわけではない」支払い方法なので、その点のみ注意が必要です。
クレジットカードのキャッシング機能の仕組み
クレジットカードの機能は、買い物で使う「ショッピング機能」のイメージが強いでしょう。しかし、クレジットカードには現金を引き出す「キャッシング機能」もあります。ここではこのキャッシングの仕組みを解説します。
キャッシングの仕組み
キャッシングは、簡単にいうと「カードローンと同じ」で「現金の借り入れ」です。ショッピングの限度額と同様、カード会社の審査によってキャッシングの限度額も決まります。その金額の範囲内であれば、お金を借りられます。
返済方法は、主に一回払いかリボ払いとなります。ショッピングとの違いは、一回払いでも金利がかかることです。
ショッピング枠とキャッシング枠の設定には、下の3つのパターンがあります。
- キャッシング枠がショッピング枠に含まれる…多くのカード
- 両方別々…セゾン・アメリカン・エキスプレス・カードなど
- 両方共通…ACマスターカードなど
「キャッシング枠がショッピング枠に含まれる」のは、多くのカードで用いられているパターンです。仮にショッピング枠100万円、キャッシング枠30万円だったとしましょう。これで20万円のキャッシングをすると、キャッシング枠は当然ながら、残り10万円です。一方、ショッピング枠も同じように20万円減り、残り80万円となります。逆に、最初に100万円ショッピングをした場合、キャッシングをまったくしていなくても、キャッシング枠は0円となります。
「両方別々」は、一番わかりやすいパターンです。ショッピング枠が50万円、キャッシング枠が10万円だったら、それぞれその金額まで利用できます。両者の計算が混ざることはありません(ただし、毎月の支払いは合算されます)。
「両方共通」の場合、たとえば50万円の枠があったら「50万円全部キャッシングに使う」ことも、その逆も可能です。このパターンは、ACマスターカード以外ではほぼ見られません。
キャッシングを利用する方法
キャッシングは、銀行やコンビニなどの提携ATMから利用できます。また、海外のATMで現金を引き出すことも可能です。ATMを使う場合は、原則手数料がかかります。ただし、そのカード会社専用のATMなら、手数料はかかりません。例えばセゾンカードのセゾンATMなどです。
ATMでキャッシングをする手順は下のとおりです。
- クレジットカードを挿入する
- 暗証番号を入力する
- 「お借り入れ」を選択する
- 返済方法を選択する(1回払い、またはリボ払い)
- 金額を入力する
- 現金を受け取る
3の「お借り入れ」は「出金」となっていることもあります。また、同じ画面で「ご返済」も表示されます。ご返済は「入金」と表示されることもあります。同じカードでも、使うATMによって表示が異なることがあります(銀行・郵便局・コンビニなどで異なります)。
クレジットカードでポイントがもらえる仕組み
クレジットカードを使うと利用金額に応じてポイントがもらえる仕組みになっています。ここでは、なぜポイントがもらえるのか、どのように貯められるのかなど、クレジットカードのポイントの仕組みについて説明します。
なぜポイントがもらえるのか
利用者がクレジットカードを使うと、加盟店がクレジットカード会社へ手数料を支払う仕組みになっています。この手数料の一部を、クレジットカード会社が利用者にポイントとして還元しているわけです。このポイントの還元率はカードや利用する店舗によって異なります。
カードを使って買い物しても、現金払いより値段が高くなるということはありません。同じ値段でポイントが還元される分、カード払いの方がお得といえます。毎日の買い物で少しでも得することを考えるならば、カード対応の店舗ではできるだけカードを使うようにするといいでしょう。
ポイントを貯める方法
ポイントを効率的に貯める方法は、主に下の3つです。
- 還元率の高いクレジットカードを使う
- あらゆる支払いをクレジットカードに集中させる
- ネットの買い物では、ポイントアップモールを経由する
- 誕生月限定などのキャンペーンを活用する
1の還元率は、一般的には0.5%です。高還元とされるのは「1.0%」からです。2については、下のような場所・サービスの支払いは、カードでできることが多いものです。
- コンビニ
- スーパー
- ネット通販
- クリニック
- 保険料(生命保険など民間のもの)
- 公共料金
- 引っ越し代
3は、例えば三井住友カードの「ポイントUPモール」を経由してAmazonで買い物をすると、ポイントが最大4%プラスされます。このようなサービスを提供する理由は下のとおりです。
- 先に説明したとおり、決済手数料を3%程度とっている
- サイト(モール)へのアクセスを稼げる
4は、例えばライフカードの場合、誕生月のポイントが3倍になります。このような期間限定のキャンペーンがあるものは、そのときだけ「全ての支払いをそのカードに集中させる」というのも、ポイントを貯めるコツの1つです。
まとめ
- クレジットカードの決済は、利用者・加盟店・カード会社の3者で成り立つ
- 国際ブランドとは、決済ネットワークのこと
- 主な国際ブランドはVISA・Mastercard・JCB・AMEX・Diners
- 発行会社は、これらの国際ブランドと提携してカードを発行する
- ショッピングは一回払い・二回払い・分割払い・リボ払いなどを選べる
- キャッシングでは現金を借りられ、支払方法は一回払い・リボ払い
- クレジットカードを利用するとポイントが貯まる
特にポイントが還元されることを考えると「カード対応のお店ではカードを使う方がお得」ということがわかるでしょう。まだクレジットカードを持っていない人は、よく行く店舗で得するカードを調べ、発行してみてはいかがでしょうか。
公開日:
21.07.30