クレジットカード
ブラックリスト入りでもクレジットカードは作れる?信用情報の確認方法とカードの作成のポイントを解説
信用情報に問題がある人を「ブラックになった」とか「ブラックリストに載った」などということがあります。一般的にブラックと呼ばれる状態になるとローンやクレジットカード契約ができないケースがあるのは事実です。
しかし、具体的にどのような状態がブラックと呼ばれるのかを知らない方も多いのではないでしょうか?
ブラックとはどのような状態で、ブラックとなる原因は何なのか、また自分がブラックかどうか確認する方法や対処法について詳しく解説していきます。
目次
ブラックリストとは何?
ブラックリストとは、個人信用情報に金融事故や異動情報という情報が記録された状態を指す通称です。
簡単にいえば「信用情報に問題があり審査に通過することが難しい状態」と理解しておけばよいでしょう。
では、実際にブラックリストというリストが審査側の手元に存在するのでしょうか?
ブラックリストというリストはない
ブラックリストというリストは存在しません。ブラックリストというのはあくまでも通称にすぎません。
一般的にブラックリストに載ったと言われるのは、個人信用情報に大きな問題を抱え、年収や勤務先などの属性にかかわらず、その情報が発覚した時点で審査には高い確率で通らないような人を指します。
「ブラックリスト」というと、あたかもローン会社やカード会社の間で出回っている「お金を貸してはいけない人」というようなリストがあるように思えますが、実際にはそのようなリストがあるわけではなく、信用情報に問題を抱えている人の通称にすぎないと理解しておきましょう。
お金を貸してはいけない人というリストは存在しませんし、審査の基準は会社によってさまざまです。
信用情報に問題があり、A社の審査には落ちても、B社の審査には通過するということもあり得ます。
なお、本記事内では便宜上、信用情報に問題を抱えている状態を「ブラックリストに載る」と表現していきます。
信用情報がブラックリストに載る条件
信用情報がブラックに載ってしまった人は、信用情報機関が保存する個人信用情報に「異動」などの金融事故と呼ばれる情報が記録された人です。
ローンやクレジットカードなどの利用において、次のいずれかのトラブルを起こすと「異動」などの金融事故の情報が記録されることとなります。
- 債務整理
- 長期的な滞納
- 強制解約
- 代位弁済
これらの「支払いを長期間滞納した」か「法的な手段によって返済を免除になった」などのケースで、信用情報がいわゆるブラックと呼ばれる状態になります。
それぞれ具体的な事例とともに詳しく解説していきます。
債務整理
債務整理とは、借金の減額や支払いの猶予、利息の減免等により、法的に借金問題を解決する手段です。
債務整理をすることによって、返済困難な債務から解放されます。
具体的な債務整理の方法としては次の4つがあります。
- 任意整理:債務者と債権者が話し合い、支払いの猶予利息の減免借金の減額などを行い支払いを円滑化させる
- 特定調停:債務者と債権者が簡易裁判所による仲裁のもと返済条件の軽減等の話し合いを行う
- 個人再生:裁判所の認可のもと原則3年で完済できるように借金を原則5分の1に減額する
- 自己破産:裁判所の許可のもと未払いの税金など一部の債務を除き、借金の返済が免除される
個人再生と自己破産は手続きを行うと官報という国のお知らせに掲載されます。官報に掲載された段階で信用情報に事故情報として記録されます。
任意整理と特定調停の場合、手続きを行っただけでは、すべての信用情報機関でブラックとして情報が記録されるわけではありません。
しかし任意整理や特定調停に至るまでには、後述する長期延滞や強制解約、代位弁済が行われているケースが多く、すでにブラックになっていることが多いでしょう。
長期的な滞納
ローンやクレジットカードの支払いを長期間滞納すると、信用情報にはいわゆるブラックとして記録されます。
長期延滞については、信用情報機関によってブラックになる条件が次のように異なります。
- CIC:返済日より61日以上または3ヶ月以上の延滞
- JICC:入金期限から3ヶ月以上延滞
返済日より61日以上経過してしまうと、CICではブラックと呼ばれる状態になります。
なおブラックではありませんが、たった1日の遅れでも信用情報には「遅れた」という記録がついてしまいます。
支払い状況はローンやクレジットカードの審査では非常に重要ですので、クレジットカードの支払いには1日も遅れないことがベストです。
強制解約
クレジットカードやローンの契約を強制的に解約されると、JICCでは「金融事故」として信用情報に登録され、これがブラックと呼ばれる状態です。
また、携帯料金を長期間滞納すると、携帯事業者らが加盟している次の期間に事故として登録されることがあります。
これらの機関に情報が登録されると、新規で携帯電話の契約をすることができなくなります。
ただし、クレジットカードやローンの審査にはこれらの機関に登録されただけでは影響はありません。
注意しなければならないのは、携帯の端末代金を分割払いにしているケースです。
携帯の端末代金を分割払いにするということは、携帯電話会社と割賦販売契約を締結しているということです。
割賦販売契約の契約内容は信用情報に記録されるので、支払い状況もクレジットカードと同じように記録されます。
そのため、支払いに長期間遅れると信用情報機関に事故として登録されることがあります。
代位弁済
代位弁済とは、契約者がローンなどの返済を長期間滞納したことにより、その支払いを保証会社が立て替えることです。
銀行のローンなどは保証会社がついていることが一般的ですので、長期間滞納すると代位弁済が行われ、信用情報がブラックと呼ばれる状態になります。
どのタイミングで代位弁済が行われるのかは銀行によってまちまちですが、大手銀行などは1ヶ月以上滞納しただけで代位弁済が行われることもあります。
銀行のカードローンなどを借りている人は、1ヶ月程度の延滞で信用情報がブラックになるおそれがあるので支払い遅れには十分に注意してください。
申し込みブラックとはどんな状態?
一般的なブラックと呼ばれる状態とは別に、「申し込みブラック」と呼ばれる状態も存在します。
申し込みブラックとは、信用情報にローンやクレジットカードの申し込みをした情報が多数記録されている人を指す通称です。
信用情報には、ローンやクレジットカード等を申し込んだ際にクレジット会社等が信用情報を閲覧した情報が記録されており、この情報を「申し込み情報」といいます。
短期間のうちに申し込み情報が多い人は、申し込みをしている形跡があるのに契約をした様子がないため、他社の審査に落ちたと容易に想像できるため「お金に困っている」「他社の審査に通らない事情を抱えている」などと判断されるので、ローンやクレジットカードの審査ではマイナスになります。
申し込み情報は、申し込みを行ってから6ヶ月間保管されます。
できれば最後にローンやクレジットカードに申し込みをしてから6ヶ月以上経過した段階で申し込みをしましょう。
社内ブラックとは何?
ブラックも申し込みブラックも、一定期間経過すればブラックではなくなります。しかし、半永久的にブラックであり続けるのが「社内ブラック」です。
社内ブラックとはローン会社やクレジットカード会社に保存されている独自のデータでブラックとされる人です。
具体的には、過去に利用した際に返済でトラブルがあった人が該当します。信用情報に記録された情報は5年間で消去されますが、社内情報は半永久的に記録が残ります。
過去にトラブルがあった会社は社内ブラックになっているおそれがあるので、他の会社のローンやクレジットカードへ申し込みをした方がよいでしょう。
ブラックリストに載った人はクレジットカード審査には通らない
個人信用情報に異動情報などの金融事故の情報が記録されたいわゆるブラックの人は、基本的にクレジットカード審査に通過することはできません。
審査においてカード会社は必ず信用情報を確認しますが、その際に申込人がブラックであることが分かった時点で審査を落としてしまうのが一般的だからです。
「過去に長期間延滞した」という経験を持つ人をわざわざ審査に通してしまったら、クレジットカード会社にとってリスクが大きくなるためです。
では、信用情報がブラックと呼ばれる状態でも作れるカードは絶対に存在しないのでしょうか?
また、ブラックの人はどの程度の期間で解除されるのでしょうか?
ブラックでも作れるカードはある?
ブラックの人は、クレジットカードの審査に通過することは非常に難しいと考えた方がよいでしょう。
審査では必ず個人信用情報の確認を行います。
ここで「信用情報がブラック」ということが発覚した時点で、ほとんどすべてのクレジットカードで審査には落とされてしまいます。
ただし、審査の基準は各社異なり、信用情報を重視しないカードや、審査が緩いカードであれば審査に通過できる可能性もあるため、非常に厳しいものの可能性はゼロではありません。
ブラックから解除されるには何年くらいの期間が必要?
ブラックとなってから解除されるには、該当の債務を完済してから5年というのが基本です。
注意しなければならないのは「ブラックになってから5年」ではなく「完済してから5年」という点です。
そのため、事故を起こしてから完済までに5年間かかった場合には、10年間はブラックのままという点に注意しましょう。
なお、銀行などの情報を収集している全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、自己破産と個人再生だけは10年間保管するので、自己破産あるいは個人再生を行った人は、10年間は銀行や信用金庫からお金を借りることができません。
自分がブラックかどうかを確認する方法とは?
「自分はブラックかもしれない」と不安な方は、住宅ローンなどの審査に申し込む前にまずは本当にご自身がブラックと呼ばれる状態なのかを個人信用情報機関に確認するのがよいでしょう。
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
- 指定信用情報機関(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
国内3つの個人信用情報機関で自分の信用情報を確認する方法をご紹介していきます。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)の確認方法
全国銀行個人信用情報センター(KSC)で個人信用情報を開示する方法は次の通りです。
- 以下の書類を全国銀行個人信用情報センターへ郵送する
登録情報開示申込書「本人開示手続き利用券」または「1,000円分の定額小為替証書」本人確認資料(2種類) - 開示報告書が郵送で届く
WEB上で開示報告書をダウンロードして必要事項を記入し、郵便局で購入できる小為替を同封して郵送することで信用情報を開示することができます。
株式会社シー・アイ・シー(CIC)の確認方法
CICは信用情報をインターネット上と郵送と窓口で開示することができます。
おすすめの方法は、スマホやPCですぐに自分の信用情報を確認できるインターネットです。
インターネットでの開示方法は次の通りです。
- クレジット契約で利用した電話番号からCIC指定の電話番号に電話し受付番号を取得
- 取得した受付番号をCICの開示専用ページで入力
- パスワードを入力し開示報告書をWEB上で確認
CICはクレジットカードで開示料金を支払い、WEB上で確認できるので自分の信用情報をすぐに確認できます。
なお、開示料金はインターネットと郵送での開示で1,000円、窓口での開示で500円となっています。
株式会社日本信用情報機構(JICC)の確認方法
JICCもインターネット、郵送、窓口の3つの方法で信用情報を請求できます。
インターネットで開示請求する方法は次の通りです。
- 専用アプリをダウンロード
- 利用規約を確認後、メールアドレスを送信
- JICCよりパスワード発行、確認後パスワードを入力
- 申し込み内容の入力
- 本人確認書類とセルフィーを撮影し送信
- 手数料の支払い方法を選択
- 開示結果が郵送される
JICCはインターネットで開示請求をすることができますが、画面上で確認できるわけではありません。
請求してから数日後に開示報告書が郵送される形式です。
なお、開示料金は1,000円となっており、別料金で次のようなオプションをつけることも可能です。
- 速達 : 300円
- 本人限定受取郵便 : 300円
- 速達 + 本人限定受取郵便 :600円
ブラックリスト入りにならないためのクレジットカード利用方法
信用情報が一度ブラックと呼ばれる状態になってしまうと、回復するまでには非常に長い時間がかかります。
また、クレジットカードやローンの契約ができないなど、日常生活に大きな支障が生じることとなります。
信用情報がブラックリストに載らないために、以下の点に留意して日頃から適切にクレジットカードを利用する必要があります。
- 無理な買い物はしない
- リボ払いは利用しない
無理な買い物はしない
クレジットカードで無理な買い物をしないことは非常に重要です。
クレジットカードでの買い物は、買い物の時に現金の支払いが伴わないためついつい自分の支払い能力を超えた大きな買い物に手を出してしまいがちになります。
しかし、クレジットカードを利用した代金は翌月か翌々月には必ず支払いをしなければなりません。
この時にお金がないとクレジットカードを滞納し、滞納が長期化するとブラックになります。
クレジットカードの延滞は、最初に「手元にお金がないからとりあえずカードで買っておこう」「我慢できないからカードで買おう」などの無計画な利用をすることから始まります。
クレジットカードで買い物をすると「お金を使っている」という実感が希薄になるものですが、だからこそ買い物は無理なく計画的に行うことを徹底してください。
リボ払いは利用しない
クレジットカードを健全に利用し、支払いの遅れを避けるためにもリボ払いは利用しないようにしましょう。
リボ払いはどれだけカードを使っても利用額は毎月定額です。
そのため、お金を使っているという感覚がなく、お金を使いすぎてしまい、気づいた時にはあっという間にクレジットカードの限度額に到達してしまいます。
限度額に到達したあとは毎月の支払いだけが発生し、そのカードではほとんど買い物はできなくなります。
そのため新たなカードを使い、またリボ払いで買い物を繰り返すという悪循環に陥り、最終的にはカード破産に至ってしまうケースも少なくありません。
計画的にリボ払いを活用できるのであれば問題ありませんが、「支払いが苦しいから、とりあえずリボ」のような安易な気持ちでリボ払いを利用することは避けましょう。
信用情報がブラックリストに載ってしまった人の対処法とは?
信用情報が一度ブラックリストに載ってしまったら、クレジットカードを作成することは非常に困難です。
しかしブラックの人も「ネットショッピングやサブスクの支払いなどでクレジットカードが必要」「ETCカードが必要」などの理由で困っているケースも多いのではないでしょうか?
このような場合には次の3つの方法で対処することができます。
- デビットカードかプリペイドカードを作る
- ETCパーソナルカードを作る
- 家族カードを作る
信用情報がブラックでクレジットカードを作れない方の3つの対処方法について詳しく解説していきます。
デビットカードかプリペイドカードを作る
1つ目の方法がデビットカードかプリペイドカードを作るという方法です。
- デビットカード:紐つけされた銀行口座からカードで使った代金がすぐに引き落とされる。銀行口座残高の範囲内までしか使用できない
- プリペイドカード:事前にチャージした金額までしか使用できない
どちらのカードもクレジットカード会社による立て替えが発生せず、デビットカードは銀行口座残高分、プリペイドカードは事前にチャージした分しか使うことができません。
そのため、信用情報がブラックでどのクレジットカード会社の審査に通過できない人でも、デビットカードとプリペイドカードであれば作成することができます。
どちらもVISAやJCBなどの国際ブランドがついているので、それらの国際ブランドに対応している店であればクレジットカードと同じように使用できます。
ETCパーソナルカードを作る
ETCカードを作りたい場合は、ETCパーソナルカードというカードを作成することによって代用できます。
ETCパーソナルカードとは、事前にデポジット(保証金)を預けることによって利用できるETCカードです。
利用料金の限度額はデポジット額の80%までとなっており、万が一支払いができなかった場合には未払い料金とデポジットを相殺できるので発行会社にはリスクがありません。
ETCパーソナルカードはクレジットの審査がないので、ブラックの人でも契約できるETCカードです。
デポジットさえ用意できれば誰でも作成できるカードですが、事前にデポジットを用意しなければならないので手元にお金がない人は作成できないという点には注意しましょう。
家族カードを作る
信用情報がブラックでクレジットカードを作ることができないという方は、家族カードを作成するという方法もあります。
家族カードとは、クレジットカード契約者である本会員の家族だけが発行できる本会員のカードの付帯カードです。
自分以外の家族がクレジットカードを所有しているのであれば、その家族が所有しているカードの家族カードを発行することで、ブラックであってもクレジットカードを所有できます。
家族カードで審査の対象になるのは本会員だけです。そのため家族カードを保有する人がブラックであっても本会員の信用に問題がなければクレジットカードを作成できます。
また、本会員と同じ付帯サービスを受けることができるので、本会員がステータスの高いカードを保有していれば家族カード会員も充実した付帯サービスを受けることが可能です。
家族がクレジットカードを保有していれば非常に有効な方法ですが、家族カードの利用分はすべて本会員に請求されるので、無理な使い方をして家族に迷惑がかかることがないよう、十分に注意しましょう。
この記事のまとめ
ブラックリストというリストは存在しませんが、信用情報に異動情報や金融事故情報が記録されている状態を「ブラック」や「ブラックリストに載った」などと呼ぶことがあります。
ブラックの人は、クレジットカードはおろかローンの審査に通過することも非常に難しくなります。
自分がブラックかどうかは信用情報機関に照会することで簡単に調べることができます。不安な方は開示請求を行ってください。
ブラックになる原因は明確ですので、普段のクレジットカードの使い方や支払いでブラックにならないよう十分に注意しましょう。