
佐世保で創業87年の歴史を誇る老舗フォトスタジオ『森白汀(もりはくてい)』が新スタジオを移転オープンしました。場所はなんと、自動車学校『ヒューマンスクール早岐』の敷地内、その名も『ヒューマニティーパーク』!
『ヒューマニティーパーク』って何? なぜフォトスタジオが? イベントもやってるって、本当?
そんな“新しい動き”が目白押しな『ヒューマンスクール早岐』を運営する『株式会社 ヒューマングループ』代表取締役社長の内海梨恵子さんと、夫である『株式会社 森白汀』代表取締役社長の内海暢邦さんにお話をうかがいました。

内海梨恵子さん
創業72周年を迎える『株式会社 ヒューマングループ』の三代目取締役社長。
“5つ星のサービスが提供できる人づくり”を合言葉に、自動車教習所の運営や貸切バス・旅行会社といった観光事業、LINE公式アカウント構築支援や幹部研修・社員研修といったマーケティングやコーチング、Notion導入による中小企業向けオーダーメイド社内システムといったさまざまな事業を行っている。
日々の取り組みやお役立ち情報を『YouTube』『note』各種SNSで発信中。

内海暢邦さん
創業85年以上の老舗フォトスタジオ『株式会社 森白汀(もりはくてい)』の三代目取締役社長。
写真を通じて、人生の節目に宿る特別な瞬間や思い出を美しく永遠に残すことをモットーとしている。
2023年10月に、佐世保市栄町から早岐へ新スタジオを移転オープン。ナチュラルで自然光あふれる空間での撮影や、ガーデンでのロケーション撮影など顧客のニーズに幅広く応えている。
『ヒューマニティーパーク』誕生のきっかけ

画像提供:フォトスタジオ森白汀
そもそも、自動車学校がなぜ地域の交流拠点を作ったのでしょう? ゆくゆくは公園になるとか?
梨恵子さん
工事中は周囲からよく「公園ができるの?」と言われていましたが、そうじゃないんです(笑)。もともと、自動車学校が表通りから奥に入った立地にあるので、“玄関口”がほしいよねと。そしたらちょうど奇跡的に、親しくしていた地主さんから敷地を購入させていただくことができました。
そして更地にしたのですが、当時は具体的なアイデアがありませんでした。あちこちからチェーン店やアパート運用など沢山の案をいただいてて。コロナ禍だったこともあり、利回りの良さに惹かれつつ当時の社長(梨恵子さんの父・現会長)と専務とどうするか悩んでいたんですけど、「何より、会社としてワクワクしないよね」と話したんです。
私の師匠である、ハウステンボス創業者の神近さん(故・神近義邦氏)から生前「あの敷地はヒューマンの玄関口になる」と言われていたのを改めて思い出して、初心に戻りました。
せっかくなら、地域の人たちからも「温かい雰囲気で良いよね」って思ってもらえるようなものを作りたいと、ふわっとした状態で何かをやろうとしたタイミングで、夫の写真スタジオの移転の話もありまして。

画像提供:フォトスタジオ森白汀
暢邦さん
初代の祖父、二代目の父から写真スタジオを受け継いで、アーケード街で経営していました。ですが「自分の思い描くようなスタジオが作れたらいいな」という想いがずっとあり、創業85周年を機に場所探しをしていたタイミングだったんです。
梨恵子さん
「もしウチでスタジオできたら、テナントとして入ってくれます?」って話をして。
暢邦さん
(『ヒューマニティーパーク』のある)早岐周辺の人口やロケーションなど、メリットとデメリットを両方吟味しまして。早岐瀬戸が近くを流れていて、緑のある気持ちいい空間が「何かありかも!」と感じ、プロジェクトを進めていきました。
―ちなみに、『ヒューマニティーパーク』の名前の由来は?
梨恵子さん
私の父で会長の内海和憲に命名権を渡したら、「ニューヨークの『セントラルパーク』が好きだから」という理由でこのネーミングになりました(笑)。
こうして創立70周年の記念に、ヒューマングループの玄関口が誕生しました。梨恵子さんの夫・暢邦さんが受け継ぐ老舗写真スタジオもまた、ここで新たな時を刻むことになります。
昭和から令和へ~写真の付加価値をさらに高めるために~
―新しいスタジオは、やわらかい自然光に包まれた開放感あふれる雰囲気が素敵ですね。

暢邦さん
そうですね。さらに、屋外でのロケーション撮影も可能になりました。あと、自家用車をお持ちのお客様が多い佐世保では、駐車場が完備されているのも利点のひとつです。
―移転オープンから一年が経ちますが、感触はいかがですか?
暢邦さん
数年前のコロナ禍を機に、これからの時代は先が読めないと感じています。そんな不安定な状況が続く中で、お金ももちろん大切ですが、何より“思い出”だと思っているんですよね。このスタジオで撮った写真を、何十年後かに見返して、思い出話に花を咲かせるような。そんな家族のコミュニケーションが生まれるような写真をこれからも撮り続けたいと感じました。

梨恵子さん
わざわざ写真館に行って撮ってもらう、というのも思い出のひとつだよね。
暢邦さん
うん。ちなみにここなら、美容室や衣装、メイクなどトータルでプロデュースができますから、すべてが思い出づくりに繋がるんです。スマホで簡単に綺麗な写真が撮れて、データで保存ができる便利な時代になったからこそ、写真を額装して飾る、手元に置くことへの価値も高まっています。そこを伝えていくことが大事かなと思ってます。
―あと、一般のご家庭向けに加え、現代のビジネスシーンにも役立つサービスを行ってらっしゃると聞きました。
暢邦さん
法人向けの『ストレングスフォト』ですね。会社などで人材を募集したり、また就職先を探したり、さらには個人事業主としてPRしていく場合、ホームページやSNSなどで使われている写真が印象を大きく左右することが多いです。というかそれが当たり前の時代になっています。そこで、経営者といったお客様の自己紹介用写真やウェブ、講演会の掲載用に“強み”となる写真を撮影するサービスです。
梨恵子さん
「これから絶対需要があるよ!」と私が推しました(笑)。もちろん「こう見せたい」という思いも取り入れつつ、せっかくなら自分が知らない魅力を引き出してほしいなって。例えば私なら、社長としてリーダーシップが伝わるようなものであったり、かつ優しそうなイメージを、とか。人って多面的だから、色んな切り口で撮ってあげたら、色んなシーンで活用できるし。
暢邦さん
その人(被写体)の要望に応えながら、その魅力を最大限に引き出せるよう撮影を行っているので、とても参考になる提案でした。
梨恵子さん
そんな提案をした私が、一番撮ってもらってるんですけどね(笑)。
イベントを通じた新しい拠点・出会いづくり
ここまでは、『ヒューマニティーパーク』の誕生と、そこに拠点を移したフォトスタジオ『森白汀』さんの新たな取り組みについてうかがいました。今後の展開は?
梨恵子さん
『ヒューマン×ヨカコトまつり』というイベントを、これまでに計4回にわたり行っています。
自動車学校のフィールドを活かした実演や体験、飲食店やハンドメイド作家さんの出店といった内容です。自動車学校に足を運んでいただいたり、交通安全ルールを心がけていただくきっかけになればと思い始めました。
また、もともとこの地域は大きなイベントが少ないといった声も受けまして、まちの人たちが楽しめる場にもなってほしいなと。

暢邦さん
『森白汀』では、イベントの日はワンコイン撮影会を行っています。これまで家族写真を撮ったことがない方でも、気軽にスタジオに足を運んでいただくきっかけになればと思います。




画像提供:ヒューマングループ株式会社
前回は『株式会社 ヒューマングループ』の事業のひとつであるAIを活用した講座も行ったとか。子どもからビジネスパーソンまで幅広く親しめる内容で、今後も継続していくそうです。
梨恵子さん
私はSDGsのファシリテーターの資格などを持っているんですが、やはり佐世保は都心部に比べると学びの場が少なくて。次世代の子どもたちや事業に携わる方々の学びや、交流の場になれば良いなと。知的好奇心が刺激されるコミュニティが生まれる場所になってくれたら良いなと思います。
取材後記
早岐に新たに誕生した拠点『ヒューマニティーパーク』。今後はなんと、カフェもオープン予定とのこと!自動車学校の枠を超えたその取り組みは、佐世保のまちを、もっと刺激のある、楽しい場所にしてくれるかもしれませんね。
それぞれの事業に長年携わってきた内海さん夫妻が描く、これからの未来がとても楽しみです。

画像提供:フォトスタジオ森白汀