中学受験にかかる費用の総額平均は約184万円!保護者500人に聞いた塾のタイプや通った年数での違いを調査

2024年の首都圏における中学受験率は18.12%となり、10年連続で増加しました(首都圏模試センター調べ)。
背景として、コロナ禍の影響や各都市部で進む高校授業料無償化(または実質無償化)があるといわれています。中学受験の準備のためには塾代など、多額の費用がかかります。

本記事では、子どもの中学受験を経験した保護者500人にアンケートを実施し、実際にかかった中学受験の費用について調査をしました。

また、首都圏を中心とした中学受験の事情に詳しい後藤和浩さんに、調査の内容や中学受験に関する最新の情報を解説してもらいました。

監修者

 後藤和浩

声の教育社 常務取締役

後藤和浩

塾講師を10年経験したのち、中学・高校学校別問題集・受験案内等の出版を手掛ける声の教育社へ入社。首都圏を中心とした中学・高校入試の受験情報の発信などを行っている。

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中学受験で通塾した場合の総額平均は約184万円!受験校数平均は2.6校

小学生から始める中学受験準備のメインとなるのが塾通いです。

調査の結果、通塾期間の平均は2.5年間で、塾代の総額平均は178万4,000円でした。
また、受験する学校数の平均は2.6校で、出願時に支払う受験料(入学検定料)の平均は5万7,317円でした。

塾代総額平均と受験料総額平均を合計した、中学受験にかかる費用の平均は184万1,317円ということがわかりました。

中学受験にかかるお金の平均

塾代と受験料の平均を合計した中学受験にかかるおもな費用は184万1,317円になります。

しかし、これらの費用は、通う塾のタイプや期間などによって大きく変わります。
次からは、それぞれの状況を詳しく見ていきます。

調査地域:全国
調査対象:現在中学生の子を持ち、子が中学受験を経験した保護者500人
調査期間:2024年1月24日~2月1日
調査主体:MoneyGeek編集部
調査委託先:アイブリッジ株式会社

中学受験のための塾代の総額平均は約178万円!3年間通った人がもっとも多い

中学受験の準備で、多くのお金がかかるのが塾代でしょう。
通う塾のタイプと、通う年数により、費用はどれくらいかかるのでしょうか。

通っている塾のタイプは集団塾のみが約73%

塾のタイプは大きく分けて、多数の生徒が一緒に学ぶ集団塾と、1人の先生に対して1人(または2~3人)の生徒が学ぶ個別塾があります。

アンケートで、通った塾のタイプとそれぞれの塾代総額の平均を算出した結果、お子さんを集団塾に通わせた人が72.8%を占め、集団塾の塾代総額の平均は183万4,254円でした。

一方、お子さんを個別塾に通わせた人は20.8%で、個別塾の塾代総額の平均は121万6,346円でした。
塾代総額は、たとえば塾に3年間通った場合、3年間の総額です。

また、6.4%の人が集団塾と個別塾を併用していたという結果でした。

中学受験のために通った塾のタイプ

基本的には、個別塾の方が授業料は高いといわれていますが、塾代総額の平均は個別塾の方が低い結果でした。
個別塾は、生徒それぞれの得意・不得意に合わせてカリキュラムを組んでくれるのがメリットなので、苦手科目や単元を強化するために活用しているようです。

後藤和浩さん
後藤和浩さん
最近、大手の塾などでは集団塾と個別塾の併用をすすめることが多い傾向がありますが、新しいことをプラスで始めるよりも、現状で与えられていることをきっちりとこなせるようにする方が重要です。

もしも、併用するのであれば、メインの塾でついていけない部分があった場合、メイン塾の教材を使ってフォローアップしてもらうといった活用の仕方がいいでしょう。

塾にかかる費用の平均は約178万円!通塾期間は3年間が多い

塾代総額の平均は178万4,000円でした。
これは、通った年数に関わらず、回答全体平均です。

通塾期間とそれぞれの塾代総額を見てみると、通塾期間でもっとも多かったのは3年間で38.2%でした。3年通塾した場合の塾代総額の平均は224万2,147円です。

通塾期間2年間という回答は26.8%で塾代総額平均は156万3,433円、通塾期間1年間の回答は21.8%で平均82万1,101円でした。

中学受験のための塾代と通塾期間
後藤和浩さん
後藤和浩さん
塾のシステムや費用は、塾によって大きく異なります。

大手の塾であれば、小学3年生の2月から始まり、受験本番まででカリキュラムが終了することが多いです。途中からは入塾できないということもあります。
この調査は、コロナ禍の影響で通塾期間が1年間、2年間だったという回答の割合が多いことも考えられます。

もちろん、ご家庭の考え方やお子さんの状況次第で、5年生から始めたのでは間に合わないというわけではありません。

中学受験の受験校数平均は2.6校!出願費用も意外にかかる

中学受験本番が近づくにつれて、実際にどの学校を受けるのか、そして、何校受けるのかは大きな問題となってきます。

受験した学校数について調査しました。

私立中高一貫校進学者は3校受験がもっとも多い!公立・国立進学者は単願が約40%

中学受験の受験校数を質問したところ、平均は2.6校でした。

受験の結果、私立中高一貫校に進学した人の場合、3校受験した人がもっとも多く、25.0%でした。

中学受験の受験校数

公立中高一貫校や、国立附属中学に進学した人は、単願(本命校1校のみ受験)した人が多い傾向があり、その割合は40%以上でした。

後藤和浩さん
後藤和浩さん
公立中高一貫校の入学試験は、思考力を問うための作文が中心で、特別な「訓練」が必要でした。そのため、単願が多い傾向がありましたが、最近は、私立校でも作文を出題することが増え、公立校と私立校を併願する受験生が増加傾向にあります。
2月1日・2日に第一志望と第二志望の私立校を受験し、2月3日に公立中高一貫校の試験を受けるようなパターンが多く見られます。

中学受験の受験料総額平均は5万7,317円!公立・国立・私立で大きく変わる

複数の学校を受験する場合、受験する学校の数だけ受験料の支払いが発生します。

受験料は公立、国立、私立校で大きく異なります。
また、私立校の場合も、受験した年や学校によって変わりますが、東京都が発表した2024年の都内私立校の受験料平均は2万3,946円でした。

受験した学校数の調査結果と下記の受験料をもとに、受験料総額を算出すると平均は5万7,317円でした。

<受験料例>

公立中高一貫校 国立附属中学校 私立校平均(※)
2,200円 5,000円 2万3,946円
※参考:東京都「都内私立中学校の学費の状況

中学受験の費用は貯金から!塾代は夏期講習を考慮する必要がある

決して少なくはない中学受験費用。みなさんはどのようにその費用を準備しているのでしょうか。
また、中学受験を検討し始める際、予算を立てるために考えるべきことは何なのでしょうか。

中学受験の費用の捻出方法ランキング!早めの貯金が重要

中学受験のための費用をどのように準備したのかを質問したところ、1位は「貯金」でした。

コメントでも「子どもが小さいころから、受験に備えてまとまった金額の貯金をしておくべき(40代・女性)」「子どもが生まれたときから貯金して備えておくことが大切(40代・女性)」と、貯金の重要さに関するものが見られました。

<中学受験の費用の捻出方法>

順位 内容 回答数(複数回答)
1貯金284
2特別なことはしていない121
3節約73
4祖父母の支援45
5教育ローン28
6投資26
7夫が転職をした17
8妻が副業・パート・アルバイトなどを始めた16
9妻が転職をした13
10夫が副業・パート・アルバイトなどを始めた3

想定外の出費は塾の特別講習!塾代は6年生で大きく増加する

中学受験の費用で、想定外だった費用についてのエピソードをご紹介します。

塾の費用は月謝だけではない!夏期・冬期など特別講習の金額もチェック

もっとも多かったコメントが、夏期講習などの費用が高かったということでした。

  • 短期講習が何度もあり、その都度5万円ほどかかった(40代・男性)
  • 夏期、冬期、春期の各講習で数十万円(40代・男性)
  • 合宿代が高かった(40代・男性)
  • 夏期講習などの講習代や受験前の特別講習など、次々と費用がかかり、150万円くらいかかった(50代・女性)
  • 月謝以外の講習費用が、6年生で50万円くらいかかった(50代・女性)
  • 夏期講習、冬期講習が必須だった(40代・男性)
  • 特別講習が割とある。あくまで任意だが、弱点強化といわれると受講せざるを得ない(40代・女性)
後藤和浩さん
後藤和浩さん
塾代は、基本の授業料が学年が上がるにつれ高くなっていくことが多いです。
また、6年生になると夏期講習をはじめとする特別授業なども増えるので、年間で考えると、一気に高くなります。
塾を選ぶ場合、6年生でどれくらいかかるかをしっかりと調べる必要があります

入試が済んでも終わりではない!入学金の納入についても考えておくべき

試験が終わり、息をつく間もなくやってくるのが入学金の納入です。
都内私立中学校の学費の状況」によると、2024年度の私立中学入学金の平均は26万3,232円とのことです。
中学受験の費用で「想定外」だったものとして、この入学金についてのコメントも多く見られました。

  • 前受け校に支払った入学金が多額だった(40代・女性)
  • 入学金約20万円を滑り止め校に先に納めないといけなかったが、第一志望校が受かっていたため、入学を辞退した(30代・女性)
  • 滑り止めの合格校キープのために、余分な入学金がかかるケースがある。その資金の準備も必要(50代・男性)
  • 1月にお試し受験をした学校の入学金の納入期限が東京の私立校の試験が終わる前で、結局2校分支払うことになった(40代・女性)
  • 受験合格時に一部入学金として30万円を納入しなくてはならなかった(50代・男性)
後藤和浩さん
後藤和浩さん
入学金の納入について、競合校の発表前日を期限にしているという場合もあります。
一方で、併願したときに入学金の納入を待ってくれる学校や、納入したお金を返還してくれる制度がある場合もあります。こうした情報は、塾が綿密にリサーチしていることもあるので、併願校を考えるうえで参考にするとよいでしょう。

中学受験を経験した親からのエピソードやアドバイス

お子さんの中学受験を終え、後から思ったことやこれから中学受験を迎える方へのアドバイスなどを教えてもらいましたので、紹介します。

中学受験を振り返って感じたこと&これから中学受験をする人へのアドバイス

中学受験のための塾について大手5社の料金を比較

大手塾5社である日能研、SAPIX、早稲田アカデミー、栄光ゼミナール、四谷大塚の6年生時の授業料をまとめました。

ただし、年度や教室、選択コース等により異なる場合もあります。

日能研 SAPIX 早稲田アカデミー 栄光ゼミナール 四谷大塚
6年生授業料(月額) 3万5,640円
※Wコース4科(2~7月)、70分×9コマ/週
6万6,000円 5万50円
※Sコース4科目、100分×6コマ/週
(非公開) 5万7,750円
※4教科本科コース(~8月)
教材費等 3万7,532円
※4科(2~7月)
(非公開) (非公開) (非公開) 2万円程度
その他の費用 学習力育成テスト、日能研全国公開模試、副教材費、期間講習 特別講習費用、問題集等の書籍代、公開模試 年会費(2,900円)、教材費、必修テスト代、前期土曜YT講座代 (非公開) 合不合判定テスト代
※表内の価格は税込みです。

【専門家解説】塾選びや授業の取り方で注意したいこと

後藤和浩さん

中学受験の準備のための塾通いは、お金もさることながら、場合によってはお子さんや親御さんの精神的な負担になることもあります。

わが子に合った塾の選び方や、特別講習などはどこまで受けるべきか、予算はどのように考えるのかなど、悩みは尽きないでしょう。

塾の選び方やお子さんとの向き合い方について、首都圏を中心とした中学受験事情に詳しい後藤和浩さん(声の教育社)に解説していただきました。

中学受験は小3の2月からスタート!塾に違和感があれば早めに変更を

中学受験準備の塾のカリキュラムは、新小学4年生(小学3年生の2月)にスタートし、受験終了までの3年間で組まれていることが多くあります。
塾の中には、新小学4年生からだともう入れませんというところもあります。

ただし、入ってみたものの、どうしても合わないという場合もあるでしょう。
その場合は、まだ入れる塾を早めに探すことをおすすめします。
やはり、6年生の途中から塾を移るというのは、さすがに難しいと考えた方がよいです。

個別塾と集団塾のどちらを選ぶべき?

塾には、個別塾と集団塾があります。
親御さんがよくいわれるのは「うちの子はマイペースだから個別塾の方がいいのだろうか」ということです。

もちろん、集団塾で勉強することがストレスになるタイプのお子さんであれば個別塾がいいということもありますが、マイペースだからこそ集団塾の方がいいともいえます。

どうしても、中学受験は競争の世界ですから、その場に身を置いて慣らしておくというのも必要です。
そして、お子さん自身が、自分が全体のどれくらいの位置にいるかを知ることが受験においては重要です。

個別塾に向いているのは、勉強の仕方をお子さん自身が確立していて、弱点も把握しているようなタイプともいえます。

夏期講習や特別講習を受けるかどうかは親子で話し合う

小学6年生になると、夏期講習をはじめ、さまざまな特別授業が開講されて、塾からすすめられることも増えてきます。実際のところ、費用も多額になってきます。

もちろん、塾がいうようにすべての授業を受ける必要はありません。
特別授業などは、たとえば算数の図形問題といったように、単元ごとに提案されると思います。
模試の結果をよく見て、明らかに苦手な分野を強化するために受講するなどと、目的をはっきりさせて選択する方がよいでしょう。

その際、親だけで決めるのではなく、お子さんとよく話し合うことが大切です。
必要がないと判断したならば「やらなくてもいい」という選択を見せることで、お子さんの気持ちが楽になることも大いにあります。

結局、身につくかどうかはお子さんのやる気次第です。お子さん自身に余裕がないような状況で無理に受けさせられても負担になるばかりです。

中学受験をしないという選択肢も決して悪くはない

中学受験をしようかどうか、迷っている親御さんとお話をすると、「子どもの将来を考えると金銭的な事情と両天秤にかけるのはどうなのか」と悩まれている方が多くいます。

金銭的な面で無理をするくらいなら、中学受験をしないという選択肢も決して悪くはありません

あえてはっきりといいますと、私立中学に行けば、受験以上にたくさんのお金が必要になることも大いにありえます。
たとえ、高校授業料の無償化が広がっても、海外研修などさまざまな費用が必要になります。
また、お友達との交際費など、目に見えないお金も出てくるでしょう。

無理をして、親子ともどもストレスを感じても仕方ないのではないでしょうか。
中学受験をさせてあげられないと、気に病むことはないのです。

公立校にもよい学校はたくさんあります。進学状況がよい学校は公立にもあるのです。
中学受験をさせることばかりにとらわれず、「しない」選択肢も含めて、広い視野で考えてみてください。

この記事のまとめ

中学受験率が高くなった理由の1つがコロナ禍だといわれています。
授業が停止になった際、私立校の方がリモート学習などの対応が早く、手厚かったという印象から、中学受験を検討する親御さんが急増したようです。

今後は、各都市で高校授業料無償化が実施されることも影響してくるのではともいわれています。
高校で学費がかからなくなる分、中学の学費をかけてもよいのではないか、というわけです。

今回は、中学受験の準備にかかる費用について調査しました。
おもな調査対象は塾の費用でしたが、中学に入ってからもさまざまな費用が必要となります。

今回、解説してくれた後藤和浩さんのお話にもあったように、お子さんの向き不向きも含め、親子でよく考えて向き合うことが重要です。

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