クレジットカード
ICチップ付きクレジットカードとは?特徴からお手入れの仕方まで徹底解説

ICチップの付いていないクレジットカードを使っているのであれば、ICチップ付きのクレジットカードへ切り替えることをおすすめします。
ICチップ付きクレジットカードは、従来のICチップなし磁気ストライプカードの問題点を改善する目的で発行されたので、より安全度が高い状態で利用できます。
本記事では、ICチップ付きクレジットカードのメリットや注意点、そしてよくある質問として、ICチップ付きカードのお手入れから処分の仕方まで詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- ICチップ付きカードには接触型と非接触型の2種類がある
- ICチップ付きカードは磁気カードとは異なり、磁気不良が起こらない
- ICチップ付きカードが傷で読み取れないときはカード会社に連絡をして再発行する
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ICチップ付きカードの役割と普及の背景
今やクレジットカードもキャッシュカードも、ICチップが付いていることが当たり前のようになりました。
ICチップ付きカードが普及したことには理由があります。
まずは、なぜICチップ付きカードが普及したのか、役割とともに解説していきます。
ICチップ付きカードの普及は95%以上
日本クレジット協会は、2019年12月末時点で協会加盟のカード会社258社におけるクレジットカードのIC化の割合は95.1%であると発表しました。
また、2020年2月には「クレジットカードのIC化率の目標数値を達成した会員一覧」として、2019年12月末時点でIC化率が100%を達成している会員会社は137社であると発表しています。
全国的に有名な会社として、2019年時点で次の企業がIC化率100%を達成しています。
- NTTファイナンス
- KDDIフィナンシャルサービス(現・auフィナンシャルサービス)
- エポスカード
- 住信SBIネット銀行
- 三菱UFJ銀行
- ユーシーカード
- ゆうちょ銀行
- ライフフィナンシャルサービス など計131社が社名公表
なお、日本クレジット協会はクレジットカード不正利用防止対策の一環として「クレジットカードのICチップ化」を掲げており、「2020年3月末までに100%を目指す」としていました。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によってICカードの国内生産量が減少したことなどから、IC化の完了はずれ込む見込みです。
実際にクレジットカードのIC化の効果は明確です。
クレジットカードのIC化が進むにつれて、偽造されたカードによる不正利用の割合は下がっていき、2021年にはほぼ0%となっています。
クレジットカードのIC化はカードの偽造防止に大きく寄与したことがわかります。
一方、偽造カード被害が減少していることと反比例し、カード番号盗用被害は急増していることから、今後はクレジットカードの番号管理には十分注意しなければなりません。
ICチップ付きカードが普及した背景
ICチップ付きカードが普及した背景には、クレジットカードの不正利用 の被害があります。
2000年代のクレジットカード不正利用被害額の多くが「偽造カード」によるもので、2003年は実に被害額の60%以上が偽造カードを原因としています。
偽造カードは、磁気ストライプカードに貼り付けられている磁気テープに記録された各種データを抜き取り作成されます。
磁気ストライプのデータは暗号化されていないため、スキマーと呼ばれる機械で情報を抜き取り(スキミング)、抜き取った情報をもとに偽造カードを作成することができるのです。
一方ICチップ付きカードは、クレジットカードに埋め込まれたICチップに暗号化された情報を記録しています。
そのため、たとえ情報を読み取られても解読が難しく、偽造するのが非常に困難です。
磁気ストライプカードの偽造による被害を防ぐため、国をあげてクレジットカードやキャッシュカードのIC化に取り組んだのが、ICチップ付きカードがここまで普及した背景だといえます。
改正割賦販売法で店舗の端末はIC対応に
国はクレジットカード決済を導入している店舗に対して、IC化への対応を強く求めています。
2018年6月1日に施行された改正割賦販売法では「設置する決済端末の全てをIC対応にする」と定められました。
日本クレジット協会がカード会社に対してクレジットカードのIC化を求める前から、国は店舗に対して端末のIC化を義務付けています。
まさに国をあげて、クレジットカードのIC化への取り組みが行われてきたことがわかります。
ICチップ付きカードは安全性が高く情報記憶量が多い

ICチップ付きクレジットカードには、次のような特徴があります。
- カードに埋め込まれたICチップに情報を保存する
- 情報記憶量が多い
- 情報が暗号処理されておりセキュリティ性能が高い
- 非接触でも情報を読み取れる
ICチップ付きクレジットカードは情報が暗号化されているため、偽造カード被害のリスクが磁気ストライプカードと比較して非常に低くなります。
そのため信用度が高く、店頭で暗証番号を入力すればサインをする必要はありません。
ICチップ付きカードは接触型と非接触型の2種類ある

ICチップ付きカードには接触型と非接触型という2つの種類があります。
それぞれの特徴を解説していきます。

接触型
接触型のICカードとは、カードリーダーにクレジットカードの接点を接触させなければならないクレジットカードです。
カードの券面に露出している金色の接点端子とカードリーダーが接触することによって、カード内部の半導体チップに記録されている情報を読み取り決済を行います。
非接触型と比較してカードの構造がシンプルであるため、カードもカードリーダーもコストを抑えることができます。
非接触型
非接触型のICカードとは、カードのアンテナコイルから発する電波をカードリーダーが受信して、カード内部の半導体チップに記録された情報を読み取り決済する仕組みです。
接触型のようにカードリーダーとの接触によるカードの摩耗や破損を防げるだけでなく、カードリーダーにカードを挿入する手間がかかりませんし、財布に入れっぱなしでも読み取れるので決済もスムーズになります。
また感染症対策にも寄与するでしょう。
ICチップ付きカードとICチップなし(磁気ストライプカード)の違い
ICチップ付きカードとICチップの付いていない磁気ストライプカードの違いについて見ていきましょう。
ICチップ付きカード | 磁気ストライプカード | |
---|---|---|
情報記憶量 | 多い | 少ない |
セキュリティー | 強い | 弱い |
耐久性 | 磁気に強い | 衝撃や曲げに強い |
決済時 | 暗証番号のみ | サインが必要 |
ICチップ付きカードは情報が暗号化されているので、情報の抜き取りやカードの偽造はほぼ不可能だといわれています。
一方、磁気ストライプカードは磁気データを読み込むことが容易で、情報が暗号化されていないためカードの偽造も簡単です。
またICチップ付きカードは、磁気などの近くに置いても不良を起こすことはありませんが、磁気ストライプカードは磁気の近くに置いておくと不良を起こすことも少なくありません。
さらに、偽造の心配がないICチップ付きカードは店頭での決済時に暗証番号の入力だけで本人確認が完了しますが、磁気ストライプカードでの決済はサインが必要です。
このように、ICチップ付きカードは磁気ストライプカードと比較して、セキュリティも耐久性も利便性も優れています。
ICチップ付きカードのメリット

ICチップ付きカードには「耐久性」「利便性」「安全性」などの次の3つのメリットがあります。
磁気ストライプカードが抱えている問題点を解決し、セキュリティ性能が上がっているだけでなく、利便性も高くなっています。
ICチップ付きカードの3つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
1.磁気不良が起こらない
ICチップ付きカードは磁気ではないので、磁気不良が起こらないというメリットがあります。
財布やスマホケースに入れていた磁気ストライプタイプのクレジットカードやキャッシュカードが「突然使えなくなった」という経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか?
これは磁気不良が原因です。
「他のカードと重ねて保管した」「磁気を発するものの近くに置いていた」「暑い場所に長時間置いていた」
このように保管すると、磁気カードは磁気不良によって使用不能になってしまうことが多々あります。
特に磁気を発する次のようなものと一緒に保管するのはNGです。
- スマホやパソコン
- ゲームの機械
- テレビやラジオ
- 車の電磁ロックキー
- スピーカー
スマホケースの中にカードを保管している人や、バッグの中で車のキーと一緒に保管している人も多いのではないでしょうか。
ICチップ付きカードは磁気を発するものの近くで保管しても不良を起こさないので、磁気ストライプカードよりも便利に持ち運べて保管できるのがメリットです。
2.サイン不要で暗証番号で決済できる
ICチップ付きカードは、カード偽造のリスクが低いのでクレジットカードのサインが必要ありません。
接触型のカードでは、カードを端末に挿入して暗証番号を入力するだけで本人確認が完了します。
また非接触型のクレジットカードでは、暗証番号の入力すら必要ありません。
磁気ストライプカードで決済の都度サインをしていたことと比較すると、決済時の利便性が高いので、スムーズに買い物ができる点もメリットです。
「チップに記録された情報を読み込む」という技術は進化しており、今後はスウェーデンのように、カード情報が記録されたマイクロチップを人体に埋め込み、カードリーダーに手をかざすだけで決済が完了するような、圧倒的に利便性の高い支払い方法も可能となるかもしれません。
3.セキュリティ性能が高い
ICチップ付きカードは情報が暗号化されているので、スキミングによってカード情報を読み取られにくく、偽造カード被害のリスクを大幅に低減できます。
また、最近ではカード番号の盗用被害対策としてナンバーレスカードも普及しているため、クレジットカードのセキュリティ性能はますます高くなっています。
さらにクレジットカードにはスマホアプリやメールアドレスなどと連携し、カードの利用があるとその内容が通知されるものが少なくありません。
もし不正利用があってもすぐに気づくことができるでしょう。
ICチップ付きカードの注意点

セキュリティと利便性が高いICチップ付きカードですが、不正利用対策においてや海外での利用時には、次の3点に注意しなければなりません。
ICチップ付きカードが抱える3つの注意点について詳しく解説していきます。
1.暗証番号が漏れたら補償が受けられない可能性がある
ICチップ付きカードが不正利用された際、漏えいに過失があったり、暗証番号がわかりやすいものだったりした場合には、補償を受けられない可能性があるので注意が必要です。
例えば三井住友カードでは、不正利用の補償について次のように定めています。
・クレジットカードおよびクレジットカード番号が、ご本人ではない第三者によって不正に利用されたものと弊社が認めた場合、補償の対象になります。ご本人のご家族や同居人、代理人による不正利用については補償の対象にはなりません。
・損害の発生がカードの利用停止のお手続きをした日の60日前までの利用について補償します。
・故意や過失により、ご本人ではない第三者に暗証番号が知られたと弊社が認めた場合、暗証番号の入力を伴う利用については、補償の対象にはなりません。
引用元:三井住友カード|カードの不正利用に対する保障制度について
暗証番号が誕生日となっていたり、なくしたカードに暗証番号をメモした付箋が貼られていたりしたような場合には、補償を受けられない可能性があります。
「ICカードだから安心」と安易に考えるのではなく、暗証番号の設定や管理については絶対に第三者に漏れたり、推測されることがないよう厳重に取り扱いましょう。
2.海外で利用できないことがある
ICチップ付きカードは、海外で利用しようとした際に使えない可能性があります。
ICチップ付きカードはカードリーダーもICチップ対応になっていないと利用できません。
欧米では多くの国でICチップ対応が完了していますが、中には対応できていない国や店舗もあるので注意が必要です。
また、海外でICチップ付きカードを利用する場合には暗証番号の入力が必要な国もあります。
日本では「非接触決済をしているから暗証番号を覚えていない」という方も、海外では暗証番号が必要になるので注意しましょう。
3.磁気ストライプも付いているのでスキミングのリスクがある
ICチップ付きクレジットカードの中には、磁気ストライプが付いているクレジットカードも多く存在します。
これは、カードリーダーがICカードに対応していないことを想定した場合の仕様です。
このようなカードは、磁気の情報を読み取られてスキミングの被害にあうリスクもあります。
ICチップ付きカードのお手入れ方法やよくある質問
ICチップ付きカードについてよくある質問をご紹介していきます。
ICチップ付きカードが汚れた場合の掃除方法を教えてください
ICチップ付きカードが汚れた場合には「優しく拭き取る」ことが重要です。
ティッシュやメガネ拭きなどの柔らかい布で拭き取りましょう。
その際、強くこすりすぎてICチップに傷を付けないようにすることが重要です。
ICチップ付きカードがさびやこすれや傷で読み取れないときの対処法を教えてください
柔らかい布やティッシュで汚れを取っても読み取れない場合には、ICカードが壊れている可能性があります。
この場合は、カード会社に連絡をして再発行するのがベストです。
電話やマイページなどから再発行を依頼しましょう。
ICチップ付きカードの再発行代金はいくらですか?
再発行の料金はクレジットカード会社によって異なりますが、一般的には1,000円+消費税程度です。
例えば三井住友カードでは1,100円(税込)、JCBでは一般カードは1,100円(税込)、ハイステータスのカードは無料で再発行できます。
詳しくはカード会社へ確認してください。
ICチップ付きカードの再発行にはどの程度の時間がかかりますか?
カード会社によって異なるものの、1〜2週間程度の時間がかかります。
磁気ストライプカードがエラーで使えなくなる原因を教えてください
磁気ストライプカードがエラーで使えなくなる原因は磁気不良です。
- 磁気が強いものの近くで保管していた
- 財布にクレジットカードと他のカードを重ねて収納していた
- 経年劣化や高温による摩耗や損傷があった
ICチップ付きカードの使用を義務化する法律はありますか?
消費者に対してICカードへの切り替えを義務化する法律はありません。
しかし事業者に対しては、2018年に施行された改正割賦販売法で決済端末のIC化を義務付けています。
また、クレジット協会も協会会員のカード会社に対して完全IC化を掲げていることから、事業者側の方から消費者に対してICカードを持つよう働きかけをしています。
ICチップ付きカードの捨て方を教えてください
カードを正しく捨てないと「不正利用される」「情報漏えいが起こる」などのリスクがあります。 そのため、次の流れで正しく廃棄しましょう。
- カードを細かく裁断する
- ICチップを集中的に裁断・破壊する
- できればシュレッダーにかける
- シュレッダーにかけられない場合には複数回に分けて捨てる
- 持っているカードがICチップ付きクレジットカードではない場合、ICチップ付きのものに切り替えるのがおすすめ
- ICチップ付きクレジットカードはセキュリティ・耐久性・利便性のすべてにおいて、磁気カードよりも優れている
- 全てのクレジットカードがIC化する日も近い!